歯がなくなると認知症になりやすい?

こんにちは
立川デンタルクリニックすずき
院長の鈴木です。

今日は暑かったですね!
晴れると夏のような気温になる季節になってきましたね!

僕は季節で一番、夏が好きです!

早く、照り付けるような夏になってもらいたいですね!!

さて、今日は歯の本数と認知症についてです。
先日のブログで、コメントを頂きましたので、それについて書いてみたいと思います。

歯の働きは食べ物をかみ砕く、発音するなど、様々な役割を持っていますが、物を噛む行為は、同時に脳を刺激するという事がわかっています。歯と歯を噛み合わせた時の刺激は、歯の根っこの周りにある歯根膜というクッションのような役割をする薄い膜から脳に伝わり、その刺激はさまざまな脳の場所を活性化させます。

東北大学が以前出した論文によりますと、高齢者の歯の残っている本数と認知症は関係があることが分かっています。
健康な人では平均14.9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある人では9.4本と明らかな差が見られます。また、残っている歯が少ないほど、記憶や学習能力に関わる海馬や、意志や思考の機能を司る前頭葉の容積などが少なくなっていた事がわかりました。この結果から、歯が無くなると、脳が刺激されなくなり、脳の働きに影響を与えてしまうという事が判明したのです。

神奈川歯科大学の研究結果では、残っている歯の数が20本以上ある人と比べて歯が無く、入れ歯も使っていない人の認知症リスクは1.9倍。良く噛んで食べることができる人に対して、あまり噛めない人の認知症リスクは、1.5倍と高くなっています。入れ歯を用いて咬み合わせを作ることが認知症予防につながるという事がわかる素晴らしい論文だと思います。
つまり、自分の歯が残っている事は非常に重要だけど、入れ歯などで、きちんと物が咬めるということが非常に重要だという事になります。

これは広島大学の論文でも明らかになっています。

広島大学は世界で初めて、よく物を噛む事が出来る正常なマウスと、元々歯がなく柔らかい物しか食べられないマウスを比較した研究を行いました。その結果、歯のないマウスの方には、大脳皮質にアルツハイマー型認知症の原因と考えられているアミロイドβ蛋白が沈着し、老人斑が多数発生し、さらに、記憶や学習能力に関わる海馬の細胞数が少なくなっている事が判明したのです。

歯科治療により、咬み合わせを回復させることは、認知症予防に有効なのか?
そのような実験をした論文もありました。

奥歯を削り噛みにくくしたマウスの歯を、セメントなどで修復すると、正常なマウスと同じ程度にまで記憶力が回復したという研究結果があります。噛み合わせが悪いまま放っておくのではなく、噛む事が出来るように治療することで記憶力の回復の可能性が高まるのです。

アルツハイマー型認知症の方の口の中を調べると、歯が無くなり、長い間良く噛んで食べる事が出来ていなかったと思われる人が多く見られます。歯が無いと歯根膜が無くなるため、刺激が脳には伝わりません。しかし、歯に代わる入れ歯や、インプラントなどの治療を行えば歯と同様の働きをすることが出来るのです。

しかし、ただ入れ歯を入れるだけでは不十分です。北海道の病院で行われた調査では、入れ歯が合っていない人全てが認知症だったとの報告があります。その人に合った入れ歯を使用し、正しく噛む事が重要なのです。

咬む筋肉を使うこと、その筋肉が使えるという事は、入れ歯があっているという事。
筋肉の出す刺激と、歯根膜の刺激で認知症予防は出来る事がわかりました。

しかし、キチンと合った入れ歯を維持するのも中々大変です。
自分の歯を残し、自分の歯で咬むのが一番ですよね!

え?
入れ歯が合わなくなるのはなぜか?
それは、また次回お話しします。