クレド、フィロソフィ

クレド1  素直である 素直の要素とは、否定から入らないことです。誰かにアドバイスしてもらったときは「でも、だって」を使わないようにしましょう。 アドバイスしてもらったことをまず、やってみる。そしてその上でわからなかったことを聞く。ここまでやって初めて素直に意見を聞いたという事が出来ます。

クレド2  stay positive Positiveでいる。プラス発想とは、楽観的な事ではありません。過去を振り返って愚痴を言うのではなく、今よりも先の事を考えることです。今後良くするためにはどうすればよいのか?もっと良くするためには、これから何をするのか考えることが大切です。過去の嫌な事、辛いこと、しんどいことを口にして同情を買うのではなく、そのことが再び起きないように学ぶことが重要です。

クレド3  勉強好き 人から話を聞く時はメモを取るようにしましょう。そして本を読みましょう。そのようにして集めた情報を実行するということが、勉強好きということです。

クレド4  情熱を持つ 自分がどうなりたいのか?どんな人になりたいのか?具体的なモデルとなる人を見つけましょう。そしてその人に少しでも近づくことが出来るようにするためにはどうすればよいか、考えて、行動しましょう。

クレド5  keep smile 常に笑顔でいましょう。医院の理念は口の事で困る人がいなくなる事を目標にしています。ここに来た患者さんに笑顔で帰ってもらいたい。しっかりと咬むことが出来る事で、美味しく食事が出来、健康を維持してもらいたい。素敵な笑顔を作りたい。豊かな生活を送ってもらいたい。そして、来院時にも満足してもらい、立川デンタルクリニックすずきに来るのが楽しみだ、と言ってもらえるような医院を作りたい。その為に笑顔でいっぱいの歯科医院にしたいと思っています。 笑顔は周りを幸せにし、自分自身も幸せな気持ちになります。 心の健康に繋がる医院作りをし、より多くの笑顔に出会うために、まず、私たち自身が心身ともに健康で、常に笑顔でいましょう。

クレド6  say thank you いつも感謝の気持ちを持ちます。何かをしてもらったらありがとう。当たり前の事でもありがとう。「ごめんね」というなら、「ありがとう」 当たり前の事は、いつ当たり前じゃなくなってもおかしくないです。だから、どんなことにもありがとうと言いましょう。

クレド7  感動を与えよう リッツカールトンのクレドには「お客様が満足するかどうか」で判断する。とあります。それには「一人一人のお客様に、限りなく関心を持ちパーソナルなサービスをする」精神が必要。と書いてあります。 患者さんは何を持って満足になるか違う、それどころか、その時々によって同じ人でも変わったりします。だから常に相手に興味、関心を持ち、何をすれば喜んでもらえるのかと考えなくてはいけません。 気配りとは「間違いや失敗のないように、細かいところまで注意を行き届かせること」 気配りは最低限のマナーであり、それを超えた愛のある心配りによって深みのあるサービスは提供されます。 それぞれ異なる患者さんや、メンバーが何をもって喜ぶかを考えるというと、凄く難しいように感じるかもしれません。しかし、心からその人に喜んでもらいたいと思い続けると、自然と出てくるものだと思います。 患者さんや一緒に働いているメンバーの喜びを自分の喜びと思えるそんな人の集まりでありたいとおもいます。

クレド8  かっこよくいよう! 私たちは少数精鋭の選ばれたメンバーです。 高度な治療技術、最高のケアを提供します。 治療中のテキパキとした動きや、優れた電話対応をみて患者さんは私たちの医院を判断します。 私たちは、言葉使い、立ち振る舞い、顔の表情を含め、患者さんから憧れられる存在の人間です。

クレド9  5Sを徹底 5Sの質が私たちのサービスの質です。 整理、整頓、清掃、清潔、躾を徹底し、患者さんへ質の高いサービスを提供します。

クレド10  チームワークを重視 人は1人では何もできません。チームメンバーは尊敬できる人間です。そしてここで知り合えたことを共に感謝します。仕事を通じ、ともに笑い、喜び、お互いを理解し、認め、励まし合います。

クレド11  挨拶を重要視します 私たちは挨拶を大切にしています。聞く人が気持ちの良くなる挨拶をします。

クレド12 報連相、確認を大切にします 私たちは報告・連絡・相談を忘れません。自分だけが持っている情報は周りを不安にさせるきっかけにもなります。マメと言われる位報連相を徹底します。そして、異論、疑問点がある場合には、すぐに提案、確認をします。否定的な意見、他人の批判は言いません。どんな提案でもまず受けて、相手の立場になって考えます。

クレド13 ミーティングを大切にします 私たちはミーティングを大切にします。ミーティングは医院や自分自身をより良い方向に改善するために必要です。各人が様々な考えを持ち、それを出し合うことで一人では思いつかなかったアイデアや方向性が出てきます。ミーティングでは、お互いの事を尊重し、相手の意見に耳を傾けながら積極的に自分の意見を発表します。

クレド14 リーダーシップを発揮します 私たちは、自分で判断できる能力を持っています。 院長に「どうすればいいですか?」と聞くのは新人スタッフだけです。私たちは(色々な選択肢を考えてみましたが)「このようにしたいです。理由は・・・」と言います。

クレド15 目標を明確に持ちます 私たちは自らの目標を具体化し、メンバーの前で発表します。そして、紙に書いていつも目の届くところに貼っておきます。また、再確認をし、進行状況をチェックします。今置かれている状況で何が出来るのか?何がしたいのか?何を要求されているのかを常に意識します。

クレド16  魔法の言葉 私たちは心からおもてなしをする「魔法の言葉」を使います。 相手が言ってもらいたい言葉、言ってくれたおかげで、気持ちが楽になるそんな声かけが出来ます。 「こんにちは」「私たちにお任せください」「あなたの事を私たちにお聞かせください」「頑張っていただき本当にありがとうございます」言葉は癒しです。そして、自分自身にも声かけします。 「明るく、楽しく、個性的に、やさしく、かっこよく」私たちはいつも輝いています。

クレド17 健康でいる 私たちは最高のサービスを提供するために、常に健康でいるように努力します。日々摂取するものに気を付け、運動を行い、体力増進、集中力を高めていきます。

クレド18 時間を守ります 私たちは、時間通りにいらしていただいた患者さんをお待たせしません。お約束通りの時間にご案内できるようにします。またメンバー間での約束事なども、時間を厳守します。

クレド19 物を大切にします 私たちは、仕事で使用する道具を大切にします。道具を大事に綺麗に維持できない人間は、仕事も雑な仕事になりがちです。道具を大切にし、綺麗に維持することが丁寧な仕事の第一歩だと思っています。

クレド20 一緒に働くメンバーを褒めます ありがとう!と言葉で伝えるだけではなく、その人の良いところを探し、見つけ、その人に伝える事をします。それにより、褒めてもらった人は自信につながり、他のメンバーがどのようなところを評価してくれるのか知ることが出来ます。

独立~

勤務医生活も丸5年たち、一つの職場で4年勤務して 自分の治療の長期的な経過も見ることが出来るようになってきた頃 自分の医院を持つという事を考え始めました。

歯科医師になった時に35歳までに独立開業する!! という目標を掲げて日々努力してきましたが、 気が付くと34歳の誕生日を迎えようとしている。 このままでは、目標が達成出来ない。 どうすればよいか、考えた僕は、少し変わった方法をとりました。

それは その時勤務していた院長先生。 会社で言えば社長です。 その院長に宣言したのです。

忘れもしない 2013年1月4日 仕事始めの日の夜。 初めて僕から院長を飲みに誘いました。 そして 「今年中に開業しようと思います。」 「場所とか、資金とか何も決まっていませんが とりあえず、今年中に開業します」 通常、色々なことが決まり、時期も決まったあたりに 辞めることを報告するのがふつうなのかもしれません。

たしかに、 「だったら、明日から来なくていいよ」 といわれる可能性もありました。 そのあと、責任のある仕事が回ってこない可能性もありました。 しかし、僕は、自分が辞めることにより 勤務先の医院に迷惑を掛けたくなかったのと、 院長は人として先輩として尊敬していたので 僕の宣言に対して何か嫌がらせなどをするとは思っていませんでした。

僕の今の実力を一番わかってくれている人に 一番最初に伝えて、なんといわれるか反応が知りたかったです。 予想通り、協力をしていただき 嫌がらせなど受けることもなく また、足りない部分、現状などのアドバイスを受けました。

その後もいつも通りに仕事をさせていただき、 打ち合わせ等で休み、早退なども許していただきました。 本当に感謝しております。 今でも、一番身近であり、でも、いつまでも追いつけなさそうな人は 院長です。 これからも目標にさせていただきます。

職場の協力を得て開業準備を始めた僕は一つの大きな決断をしなくてはなりませんでした。独立開業すると決めた僕は重大な決断をしなくてはなりませんでした。 それは開業場所でした。

僕は長男ということもあり、実家の函館に帰るべきではないのだろうか。 函館は地元だが、15年も住んでいない… 最近の人口の流れ、これから伸びてくる地域など全くわからない… 等の不安。 一人で悩んでも答えが出なそうなので 率直に親に打ち明けました。

普通に考えれば、親の気持ちとしては帰ってきてほしいだろうな…などと思っていました。 しかし、返ってきた答えは 「自分の好きなようにやれ」 「ただし、自己責任でやれ」 「それであれば、口出しはしない」 でした。

一番うれしい言葉であり、 一番心細い言葉でもありました。 全てを自分の決定で。 悩みました。 軽い不眠症にもなりました。(笑) 悪いこと、辛いことばかり考えてしまいました。 そんな時、尊敬する院長に相談しました。

その時の言葉が 「そんなんで不眠症になってたらこの先どうすんだ!」 「やりたいようにやって、ダメならまた振り出しに戻ればいい」 「命まで取られるわけじゃないんだ」 「これから先、もっと大変な事、山のようにあるぞ」 たしかに… 開業したい!と言ってはいても、 本当に覚悟が決まってなかったのかもしれない。 全てを開業に捧げれるか… どこの地域で開業しても、今の歯科業界は激戦区ばかり。 そこで、地域性のリスクなど考えていても仕方ない! やりたいようにやる!! 覚悟を決めました。

それで、自分のやりたい診療、やりたいスタイル、やりたいことを箇条書きにしたところ 立川の現在地で開業するということを決心しました。

開業地が決まると次々とほかの事を決めなくてはなりません。 立川の今の場所でやる!! そう決心した時。 床と壁しかない状態のテナントをみて 僕は大まかな設計が頭の中に描くことが出来ました。 こんな医院に出来たらいいな… その思いをしっかりと伝えるべく週に2回 多いときは3回、設計を担当してくれた人と 材料の仕入れ担当、その支店長の4人で飲みまくってました(笑) 僕の頭の中のイメージを伝える事は予想を超えてかなり難しかったです。

まず、専門用語がわからない。 「こんな感じの壁」と言っても、当然その壁の作り方には名前があるわけで… しかし、それを知らない僕は、手あたり次第ネット等で画像を拾ってきては それを見せて補足説明する。 打ち合わせのための資料を作るのがとても時間がかかりました。

次に、図面がみれない。 平面図を頭の中で立体的にできないのです。 この壁はどこまで伸びてるのか。 この角度から見たときどのようにみえるのか… 建築のことはさっぱりわからないので、色々な人に話を聞きました。 第三者の利益の全くない人の意見。 建築デザイナーさん 近所の人(笑) いや、近所の人のつながり、意見はとても大切でした。 人と人のつながり、自分が求められたら、人のために全力を尽くす事の大切さ 東京は他人に冷たいと言いますが、そんなことはないです。 心の底から 「お願いします」 「ありがとうございます」 この二つをしっかり伝えただけなのに、周りの人々はとても親身になって協力してくれました。 そんな様々な人の支え、意見、アイデアで僕の頭の中にあったイメージが どんどん現実のものになってきました。

設計が進むと、どの医療器具を導入するかを決めなくてはなりません。 そこでも僕のイメージと使いやすさ、 当然機械ものなので、調子が悪くなった時の対応 そこを重要視して決める予定でしたが… 結局は、人でした(笑) 僕は誰から買いたいか。 この先ずっと何かあった時に頼れる人から買いたい!! 最後の一押しはそこでした。 歯科医療機器も様々なメーカーが出しています。 どのメーカーも特徴を出して甲乙付け難い。 限られた予算内では何かを妥協しなくてはならない。 それをどこにするか。 僕は、自分が最初にほしいと思った直感を信じました。 現在まではその直感は正しかったと思っています。 予算内に理想的なものを作る。 そんな矛盾する状況を様々な人の助けと努力、協力で 現在の医院を作ることが出来ました。

この医院の立ち上げに携わってくれた人たちに 感謝してもしきれません。 この場を借りて 「本当にありがとうございました」 「これから、僕が医院での活動で恩返ししていきます」 何度お礼を言っても足りないくらい感謝しています!!

院内が完成し 皆さんのお披露目をする前に 今回の営業の方、皆さんと焼肉パーティーをしました。 男ばかり10数人(笑) 今までの飲み会で一番楽しかった飲み会でした(笑) 男同士のくだらない会話 仕事への熱い情熱 未来の展望、夢 みんなが、次の日の仕事を忘れて、朝まで飲み明かしました。 「みんな!また節目にやろーね!!」(笑) そうやって様々な人に支えてもらい、開業することが出来ました。

その医院を方向性を決める。どんな医院にしたいのか?そこを考えたとき、ベースとなる考えが浮かびました。それが、現在の当院の理念です。理念 口は身体の入り口、身体の健康は口の健康から 身体の健康に良い事、健康グッズなど様々な健康ブームがあります。しかし、それらを身体に入れるための入り口は、口なのです。その口の状態が良くなければ…入り口が汚れていたら…いくら身体に良い取り組みだったとしても、それは身体に入る時に汚れてしまいます。まずは、入り口を綺麗にしよう!それが、当院の理念です。

その理念を達成するために 診療理念 分かりやすく 笑顔で  一貫治療  という3つの細かな理念を定めました。笑顔で分かりやすい説明をして、当院で全ての治療が受けられるように、出来るだけ紹介などしないで治療計画を立てよう!そう決めました。その為の運営理念 として、オープン チームワーク 日々鍛錬というのを掲げました。医療は1人では出来ません。また、一貫治療を行うためには、日々進化する歯科治療をしっかりと把握していなくてはいけません。そのような思いから、この運営理念ができました。

そうすると、これらの物事をしっかりと行うためには、行動指針が必要です。そうやってできたのが、当院のクレド、フィロソフィです。

歯科医師になってから

研修医が終了し、この先どのような歯科医師になるか どんな自分になりたいか。 それを考えていた時にイチローの本に出会いました。

研修が終了に近づくと、様々な医局が医局員確保の動きをみせます。 まるで、新入生を勧誘する部活やサークルのように(笑) そこで、何をやりたいの?と尋ねられるのですが、 様々な分野の点と点が最低限ですが結びついた僕は 全ての分野に興味がありました。

口腔外科もやってみたい。 麻酔科で全身管理もしてみたい 補綴科で咬み合わせの勉強もしたい。 矯正も興味がある。 小児歯科も面白そう。 予防も大事だよね… 勿論、歯周病、虫歯治療は基本だし… 全部のエキスパートになりたい!! これがその時の目標でした。

でも、大学の医局の先輩たちは 「それは無理だよ」 「一生かかっても、1分野のエキスパートになれるかどうかなんだから…」 と、言われました。 確かに、すべての分野で日本一になるのは無理かもしれない。 でも、 「専門外なのでわかりません」 とは、絶対に言いたくない… でも、 そんなに優秀な人間じゃないしな… 様々な葛藤の中で進路を悩んでいました。

悩んだ時にはイチロー本(笑) メジャー挑戦時のコメントでこんなカッコいいセリフがありました。 「ほかの誰よりも僕が一番期待しています。その自信がなければここにいません」 「なりたい」自分になるためには、まず、自分が自分に期待できる。 その位努力しなければ… 全てを勉強できる環境。 それは、開業医で勤務しながら、自ら勉強会やセミナー情報を調べ 休みの日を使って勉強する。 その勉強した成果を日々の診療で発揮する。

認定医や専門医という称号はもらえないかもしれない。 論文発表の機会を作るのは難しいかもしれない。 でも、日々の診療で 「これが足りない」 と感じたら、そこを勉強する。 それを繰り返していけば、いつか、目標に到達できる。 そう自分に期待し、開業医に勤務することになりました。

勤務先も、勉強会やセミナーは東京で開催されることが多いので 東京の歯科医院のみ希望しました。そうして、僕の歯科医人生は始まったのです。 

東京都多摩市の歯科医院に勤務して最初にぶち当たった壁。 それは自信を持っていたコミニュケーションでした…開業医に勤務して、初めてぶち当たった壁。 それが、結構自信を持っていたコミニュケーションでした。 「1日1回、診療室で患者さんを笑わせる。」 その時の僕の目標でした。

しかし、フィーリングが合って笑ってくれる患者さんもいれば 全く笑わない そのうえ 「こっちは辛くてきてるんだ!笑い事じゃないんだ!」 と、お叱りの声をいただく事も。 叱っていただくならいいのですが、 受付で担当医を変えてくれと言われたことも… 研修医あがりで、技術が未熟だったこともあるかもしれないのですが、 コミニュケーションにより信頼関係を得られない人がいる事にショックでした。

落ち込んだ時はイチロー本(笑) そこで目にとまったのが、 オリックス時代、初めてメジャーのキャンプに参加した時の事。 メジャーのスカウト、評論家に一番酷評されたのが なんと、守備でした。 何度もゴールデングラブ賞を受賞しているイチローが!!です。 その評価を跳ね除けメジャーで10年連続でゴールデングラブ賞を受賞 レーザービームの代名詞を得た。 僕も、努力で評価を変えたい!! 僕が自信を持っていたコミニュケーションは不完全なものだった それを気が付かせてくれたのが、患者さんたちだったのです。

なぜ、僕のコミニュケーションは通用しなかったのか… 通用する人、信頼関係を得られる人もいる。 そこで勉強したのが「コーチング」でした。 自分と同じ価値観のひとだけではない。 相手にとって、受け入れやすい、聞きやすい言い方って何だろう… それは、患者さんだけでなく、スタッフへの接し方 また、友人、知人に対する接し方にもつながっていきました。

コーチングに関しては今も勉強中です。 あの時なんて言えば良かったんだろう。 もう少し他の言い方があったのでは? 反省の日々です。 しかし、ここでコーチングに出会えたことを感謝します。 僕の基礎になっている一つです。

コミニュケーションで信頼関係を得ることが出来ても 肝心の治療が出来なければ意味がありません。 治療のスキルアップの為何をするべきか考えました。 結論は、もっとたくさんの症例を見なくてはならない。でした。 沢山患者さんを診させていただければ、当然、様々な症例に出会う事ができる。 経験を積まなくては… そう思った僕は、勤務先を変えるという結論を出しました。

最初に勤務した開業医は、時間に余裕があり、 患者さんをゆっくり、時間をかけて治療することが出来ました。 技術の未熟だった僕は、時間に余裕がないと自分も余裕がなくなり 焦りが生じてしまうこともあったので、ゆっくり治療できたのは とてもよいことでした。 しかし、その環境に慣れ、時間を気にせず治療をすることは決して良いとは言えません。 時間をかけ、丁寧に上手にやるのは当たり前。 限られた時間でも、治療の質を下げない事が必要でした。 そのために、1日の患者数が多く。かつ、丁寧な治療を心がけることを支持してくれる 歯科医院に勤務したいと思いました。

相反する二つの事を受け入れてくれる歯科医院はなかなか見つかりませんでしたが、 運よく声を掛けていただき、理想とする歯科医院に勤務できることになりました。 そこの歯科医院で最初に感じたことが、 「ここは人気のある歯科医院だ!!」 ということでした。

今でも鮮明に記憶に残っていることがあります。 それは、勤務して3日目で、僕のアポイントがすべて埋まったのです。 3日目で!!です(笑)

前の職場では、午前も午後もすべて埋まるということはほぼありませんでした。 それが、転職して3日目でもうすでに… なぜ、ここの歯科医院が、こんなにも患者さんに支持されるのか。 それを学び取るのが、第一の目的となりました。

この恩義ある歯科医院でどのようなことを学んだか1日に沢山の患者さんを診療させていただく事になり 自分に足りないものが多々見えてきました。 そのうちのひとつが、診断力でした。

なぜ患者さんが痛みや苦痛、違和感を訴えているのか それがわからない。ということが出てきました。 まずは総合的な知識を高めようと 学生時代、研修医時代の書籍を読み返しました。 すると、その時曖昧にしていた知識、 その時には想像することが出来なかった症例が 素直に入ってきて、いかに自分が勉強不足だったか、 自分の診断が浅はかだったかを痛感しました。

もう一度、大学に戻り勉強しなおそうかとも 真剣に考えましたが、医局での勉強にも 限界があることを友人から聞いていたこともあり 自分で勉強できるところを探してみました。 そんな時、とある大学が 歯科医師向けの研修会を行っていることを知り その研修会に参加することになりました。

自分と同じくらいの先生ばかりが参加するものと 思っていましたが、かなりの先輩先生も 熱心に参加しており このように生涯学習するべきである! 自分もこのような先生になりたい! と、強く思ったのです。

それから、定期的に休みを取り セミナー、勉強会に参加させていただきました。 勤務先の院長の協力もあり 4年半の勤務期間で参加した勉強会の数は 24回!! ほとんどの勉強会が、土日祝日に行われるため 勉強会に参加するためには お休みを頂かなくてはいけません。 通常2か月に1回の頻度で休みをいただく事は 勤務医では不可能なのですが、 快く勉強会に参加させていただきました。 本当に感謝しています。

周りの皆さんの協力のおかげで この4年半で自分でも 「成長できた!!」 と確信しています。 そして、現在も定期的に勉強会、セミナーに参加しております。 歯科の治療は日進月歩 次々と新しい治療法が出てきます。 新しいものを否定するのではなく かといって、何でも取り入れるのではなく。 本当に患者さんにとって有益な治療法は何かを見極めるため 様々な角度から勉強を続けたいと思っております。 「あの時の自分と今の自分を比べるのは今の自分に失礼」 この言葉を常に胸を張って言えるよう努力していきます。