立川デンタルクリニックすずきの取り組みがYahoo!で紹介されました

こんにちは

立川デンタルクリニックすずき院長の鈴木です。

先日、中小企業の経営者に向けた記事を寄稿したところ、その記事がYahoo!にて紹介していただきました。

当院で取り組んでいる「おもてなし」に対しての記事です。

記事本文はこちらから

リンク切れで見られなかった時のために、記事の内容をブログに書きたいと思います。

長文ですが、最後までお読みください。

歯科医院に限らす、病院経営、医療サービスを提供している経営者なら、一度は思ったことがあるはずです。遊びに行った大型テーマパークで働くキャストさんをみて、うちのスタッフも、こんな気配りできたらなー・・・ちょっと贅沢して泊まった高級ホテル。ベルサービスやフロントスタッフの笑顔をみて、どうすれば、こんな気持ちの良いサービスを提供出来るスタッフに育つのだろう?このようなサービスを自分の医院でも提供させたい!そんなスタッフに囲まれて仕事がしたい!・・・と

その為に、色々な本を読みあさった方もいるかもしれません。「9割がバイトでも最高の感動が生まれる」とか、「サービスを越える瞬間 心が暖まる人との接し方」とか、本屋さんで帯をみただけで、即購入!内容を取り入れるためのマニュアル化、仕組み化、スタッフ教育、接遇マナー講義。中には、研修旅行と称して、スタッフをテーマパークに連れて行ったり、高級ホテルで食事をさせたり、少しでもそのようなサービスを提供してもらいたい!と色々な取り組みを行っている方も多いと思います。

しかし、思ったように人は動かない。育たない・・・なんで?本に書いてあるようなことを実践しているのに、うちのスタッフは出来ないんだろう?お金や労働条件ばかり気にして、仕事にやりがいを持って働いてくれるスタッフはいないのか?これはスタッフ本人の問題かもしれない。親のしつけがなってなかったんだ!次の採用では、もっといい人を採用しよう!そうやって、諦めた方も多いのではないのでしょうか?

僕も、歯科医院を経営していて、やる気に満ちた笑顔が素敵なスタッフが、患者さんに気の利いた言葉をかけ、思いやりとおもてなしに溢れた歯科医院にしたい!という思いから、様々な取り組みを行ってきました。先ほど書いた内容は、全て僕のことです。そして、スタッフのせいにしてホスピタリティ溢れる歯科医院なんて、夢物語だ!と諦めかけていました。しかし、ある事に気がついてから、少しずつおもてなしを提供出来るようになってきたのです。そして、今では多くの患者さんから、あそこの歯科医院はスタッフさんが素晴らしい。とても気持ちの良い対応をしてくれる。感じの良い医院だったよ!と言って頂けるようになってきました。

今回は、何に気がついたのか?そして、何を変えたのか?について、お話させていただこうと思います。

本に書いてある内容を取り入れても、テーマパークのようになれないし、高級ホテルのようなサービスも提供出来ない。一体何が違うのか、その違いに注目したところある事に気がつきました。テーマパークや高級ホテルは、お客さんが行きたくて行っている。自ら楽しむために行っている。でも歯科医院は?基本的に行きたくないところ、仕方なく行っている。同じサービスを提供しても、楽しみにしているところと、行きたくなくて行っているところ、受け取り方が違うのでは無いか?ではどうしよう?歯科医院を「行きたい」所に変える?行きたくなる、楽しみになる歯科医院ってどんな医院だろう?

「口の中が綺麗になると、なんだか気持ちが良い!」「美味しくご飯が食べる事が出来るのは、しっかりと物を噛むことが出来るから!」歯科医療従事者である、僕は歯科医院に行くメリットを沢山上げることが出来ます。しかし、当院に通ってくれている患者さんは・・・おそらく、そこまで言ってくれる患者さんは一握りでしょう。通院してくれる患者さんのデンタルIQを高めれば、歯科医院が行きたい場所になるに違いない!そうすれば、当院の提供しているサービスをホスピタリティとして受け取ってくれるのでは無いか?そう考えた僕は、患者説明ツールを充実させ、歯の大切さ、予防の大切さを伝える努力を始めました。

最初のうちは「しっかりと説明してくれる歯医者さん」「丁寧な治療をしてくれる歯医者さん」という印象を持ってくれていたと思います。しかし、説明する人間がドクターである僕一人しかいないと、どうしても診療効率が下がってしまいます。そのような状況が続いてしまうと「予約制なのにいつも待たされてしまう」「説明の時間が長くて実際の処置が全然進まない」「無駄に来院回数を増やそうとしている」というネガティブな捉え方をする患者さんが増えてしまいました。一部の患者さんには好評でも、半数以上の患者さんは「通いにくい」「なんかめんどくさい歯医者」という感じで途中離脱してしまいました。

そして、もう一つ気がついたことは、いきなりデンタルIQの高い患者さんはなかなかやってこない。という事実でした。地道に説明し、デンタルIQの高い患者さんを増やそうとしても、なかなか増えない。そんな壁にぶち当たったのです。

そこで、すこし考え方を変えました。テーマパークや高級ホテルと同じレベルのサービスを目標としていたからダメだったのではないか?さらに上を行くおもてなし、ホスピタリティを提供することが出来れば、「行きたくない」場所に来た人にでも、素晴らしいサービスだ!と受け取ってもらえるのでは無いか?と・・・

そうして、より高いサービスを提供出来るように、スタッフに求めるレベルはより高くなったのです。しかし、今までの取り組みでも、「歯医者でこんなことする必要がある?」と疑問に思っていたスタッフ達にはその要求は苦痛以外の何者でもなかったのでしょう。スタッフが、一人辞め、二人辞め。人手が足りないので採用の基準などとは言っていられず、すぐにでも働いてくれるスタッフを雇う。しかし、求めるレベルが高すぎてまた、すぐに辞めてしまう・・・完全に悪循環でした。

やっぱり、自分の思い描いていたことは無理だったのかもしれない。理想は現実にならないんだ・・・そう、心が折れかけたときです。あるテレビ番組を見ました。それは、とある高級ホテルでコンセルジュとして働いている人に密着取材した番組でした。素晴らしいサービスの提供。顧客第一と考えることの出来る素晴らしいマインド。どうすれば、こんな人が育つんだろう・・・感心しながら見ていたとき、そのコンセルジュの方に番組スタッフがこう聞きました「どうしてそんなに頑張れるのですか?」と。

その答えがとても衝撃でした「私はこのホテルか好きだから、このホテルに泊まりに来たお客様に少しでも素敵な時間を提供したいと思っているのです。そうやって考えた末に自分が動いたことで、一人でも多くのお客様に、このホテルに泊まって良かった!そう思ってもらいたいのです。そして、次にホテルを選ぶとき、前に泊まったとき、とても良くしてくれたから。あなたがいるからこのホテルにもう一度泊まりたかった。そう言ってもらえると、私は最高に幸せです。こんな気持ちを味わわせてくれるコンセルジュという仕事を私は誇りに思っています!」と。

雷に打たれたような衝撃、というのはこのようなことを言うのだと思います。自分の考えが大きく間違っていると気がついた瞬間でもありました。そうか!人気テーマパークで働いている人は、元々そのテーマパークが好きで、そこで働きたい!と思って働いているんだ!高級ホテルで働いている人も、そのような高級ホテルで働いている自分を誇りに思っているんだ!働いている人が、その施設のファンなんだ!だから、この施設の良さを皆に知ってもらいたい、自分の行動や提供するサービスでその施設の評判を下げるようなことはしたくない!そのような想いが根底にあるから素敵なサービスを提供する事が出来るんだ!と・・・

一方で自分の医院で働いてくれているスタッフはどうだろう?ここの医院が好きから、ここの医院で働きたい!そう思ってくれている人は何人いるだろう。おそらく、その時は一人もいなかったと思います。なんとなく条件があったから。通勤しやすそうだったから。まだ新しく、設備とかが綺麗そうだったから。そんな感じだったと思います。

素晴らしいサービスを提供するために、まずは自分の医院のスタッフをこの医院のファンにしよう!僕のベクトルが180度変わった瞬間でした。それまでは僕は患者さんがどう受け取るか?患者さんの評判はどうか?と患者さんの方ばかりを向いていました。しかし、まず目を向けなくてはならないのはスタッフ達だ!ということに気がついたのです。スタッフが、この医院で働きたい!この医院が提供する医療は素晴らしい!だから、少しでも多くの人にこの医院の医療を受けてもらいたい!そう思ってもらえるように、スタッフ満足度を上げることから始めることにしました。

しかし、給与をアップしたり、診療時間を短縮したり医業収入が落ち、医院の利益が減少するようなことをすぐに取り入れられるほど、楽な経営状況ではありませんでした。お金や条件以外でスタッフ満足度を高くするにはどんな方法があるか?悩んだ末、僕が出した結論は「スタッフに仕事のやりがいを覚えてもらう」でした。そうです!僕が以前思っていた、条件ばかり気にしてやりがいを持たないスタッフしかいない。というのは、僕がスタッフに給与や条件しか与えていなかったからだったんです。

じゃあ、何から始めよう・・・そこで、僕がしたことは、自分の考えを変える!ということでした。こんな魅力の無い、どこにでもあるような歯科医院に勤めてくれることは有り難いことだ。すぐ隣にもっと条件の良い歯科医院が新しく出来たら、皆そっちに行ってしまうかもしれない。そう考えると、朝、出勤時刻にきちんと出勤してくれることも有り難いことなんだ!と。

そうして、僕の「あたり前」は、「あたり前」ではなくなりました。スタッフのしてくれた事に、もっと感謝しよう。もっと沢山の「ありがとう」を伝えよう。1日に何回「ありがとう」を言ったか数えてみました。最初は1日10回も言っていませんでした。しかし、意識をしていると「あ、今ありがとうって言うタイミングだったな・・・」っていうのに気がついてきます。でも、なんか気恥ずかしくて今更ありがとうなんて言えない。という気持ちを抑え、勇気を持って「ありがとう」と言ってみました。

すると、スタッフはまるで、気持ちの悪いものを見たかのような目で僕を見てきました。きっと昼休みなど休憩室では「最近、院長私たちの機嫌を取ってきて気持ち悪いんだけどー」「ありがとうって言えば良いってもんじゃ無いよね。心がこもってないんだよねー」などと言われていたことでしょう。それにもめげずに、「ありがとう」を言い続けました。何か器具を持ってきてくれたら「ありがとう」患者さんを案内してくれたら「ありがとう」すると、少しずつスタッフ達の態度が変わってきたのです。

そしてついに「院長からありがとうって言ってもらえると嬉しいです」と直接言ってもらえるようになったのです。その頃には1日10回も言えなかったありがとうの回数も、多いときでは100回を越えるようになってきました。もう「ありがとう」という言葉を言わないと、何か言い忘れているような気がして気持ち悪く感じるようになってきました。

そのような人間関係になってくると、今まで継続していた接遇マナーセミナーや院内での勉強会でのスタッフの成長幅が急激に大きくなってきました。マニュアルや院内ルールとして決めても守られなかったサービスもどんどん定着していきました。スタッフの行動にイライラしながら働くことは無くなりました。

スタッフが患者さんに当院の提供しようと思っている医療、当院が大切にしている想いを伝えてくれることにより、当院のファン患者さんが多くなってきました。そうなってくるとスタッフと患者さんの仲も良くなっていきます。院内でスタッフと患者さんが楽しそうにコミュニケーションを取る場面が増えてきました。そして、ついに「あなたにメンテナンスして貰っているから安心できる。辞められたら行く歯医者無くなっちゃうから辞めないでね」という声を患者さんからもらえるようにまで、なってきました。本当に素晴らしいスタッフ達に囲まれて仕事をさせてもらえる僕は幸せです。今では、僕は一番の彼女たちのファンです。